TCFD提言に基づく情報開示サステナビリティ Sustainability
TCFD提言に基づく情報開示
当社グループは、「サステナビリティ方針」を定め、「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を両立する事業活動を推進しております。私たちは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の一つに「サステナブルな社会と未来に向けての取り組み」を掲げており、気候変動問題への対応をその重要な取り組みの一つに設定しています。 2023年8月、その一環としてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、気候変動への取り組みと情報開示を強化しました。これからも、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示の充実を進めるとともに、気候変動に関するリスクと機会に適切かつ適時に対応し、持続可能社会の実現と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
TCFDとは「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、2015年12月に金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために設立されました。TCFDは、気候変動要因に関する適切な投資判断を促すための一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な情報開示を促す提言を策定することを目指して議論を重ね、2017年6月に提言を公表しました。
ガバナンス
「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を基本に事業を運営するため、当社グループは2021年6月に「サステナビリティ委員会」を立ち上げました。加えて、当社グループのサステナビリティ推進を統括する事務局をファーマライズホールディングス株式会社経営企画部に設置しました。サステナビリティ委員会は、代表取締役会長を委員長、代表取締役社長を副委員長、常任委員を経営の執行側役員、必要に応じ委員長が指名した委員により構成されます。現状、月に1度程度開催される委員会において、気候変動問題を始めとするサステナビリティに関する社会課題や環境課題を含めたリスクや機会を幅広く議論し、それらへの対応を事業戦略などに適時性をもって反映させます。
サステナビリティ委員会は、「取締役会」の諮問機関として、取締役会の指示に基づき、サステナビリティに関する課題に関して提案・報告を行います。 取締役会は、気候変動を含めたサステナビリティ課題に係る基本方針や重要課題を踏まえた上で、総合的なコンプライアンス、リスク管理の観点から、事業戦略、投資計画、BCP等を審議・決定します。
戦略(リスクと機会の分析、対応策の検討)
当社グループは、気候変動問題はリスクとしても機会としても、非常に重要な経営課題と認識しています。気候変動問題に関して、私たちが直面するリスクと機会並びに対応策について、以下の2つのシナリオに基づき検討・分析を行いました。
1. 当社グループが直面している主要な気候変動関連のリスクと機会(シナリオ分析)
気候変動に関しては、主要国の温暖化対策の動向等により様々なシナリオが考えられます。当社グループでは、①移行リスクシナリオ(1.5℃以下シナリオ)、②物理的リスクシナリオ(4.0℃シナリオ)、の2つの代表的なシナリオを想に及ぼすリスクと機会を検討しました。
① 移行リスクシナリオ(1.5℃以下シナリオ)
2050年までに地球規模で温室効果ガス排出量ゼロを実現する規範的シナリオ。政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「NZE2050シナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP1-1.9シナリオ」に原則として準拠。
② 物理的リスクシナリオ(4.0℃シナリオ)
現時点で公表されている温室効果ガス削減に関する政策や目標の撤回を含めて、気候変動問題に対する有効な政策が実施されないシナリオ。政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「STEPSシナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP5-8.5シナリオ」に原則として準拠。
リスクと機会の選出と特定、またその対応策については、当社グループ企業の幹部社員への意識調査に基づき、サステナビリティ委員会が外部有識者の意見も踏まえて検討・決定しました。その主要な検討結果は、以下の通りです。
リスク
分類 | 顕現する 時期 |
重要なリスク | 対応策 | |
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1.5℃シナリオ | 政策・法規制 | 短期~中期 |
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短期 |
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市場 | 中期~長期 |
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評判 | 短期~長期 |
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4.0℃シナリオ | 慢性 | 中期~長期 |
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急性 | 短期~長期 |
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短期~長期 |
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機会
分類 | 顕現する 時期 |
重要なリスク | 対応策 | |
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1.5℃シナリオ | 政策・法規制 | 短期~中期 |
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評判 | 短期~長期 |
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短期~長期 |
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4.0℃シナリオ | 慢性 | 中期~長期 |
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急性 | 短期~中期 |
2. 財務的影響
移行リスクシナリオの中で、財務的な影響が特に大きいと予想されるのは、カーボンプライシング(炭素税導入)等による電力価格や輸送コストの上昇などです。物理的リスクシナリオの中で、財務的な影響が大きいと予想されるのは、大規模災害等の発生による営業停止リスク及び復旧コスト、店舗の気温上昇・洪水等への対策費の増加などです。その具体的な影響について、当社グループは試算を行う予定であり、同時に対応策の具体化を進める予定です。
リスク管理
サステナビリティ課題に関するリスクと機会については、サステナビリティ委員会を中心に、社内外ステークホルダーへのヒアリングや事業部・関連部門との議論を整理分類して明らかになった課題をもとに、5つの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。 気候変動問題を含めた「サステナブルな社会と未来に向けての取り組み」は、事業活動に関するマテリアリティの最重要項目の一つとして認識しています。気候変動に関するリスクと機会に関しては、サステナビリティ委員会が幹部社員への意識調査に基づき重要なリスクと機会を特定しています。特定したリスクと機会に関しては、取締役会に報告され対応策が討議・決議されます。取締役会は、サステナビリティ委員会の報告に基づき、サステナビリティ課題を含めた総合的な外部的・内部的な経営リスクを勘案し、その相対的重要性や相互作用性などを考慮した上で、サステナビリティ課題に関する重要課題(マテリアリティ)の特定を行います。
なお当社グループは、経営課題に内在・関連するさまざまなリスクに対応するため、「コンプライアンス委員会」、「サステナビリティ委員会」を設置し、必要に応じて外部の専門家の助言を受け、リスク管理の充実に努めています。
指標と目標
1. 気候関連リスクおよび機会を評価する指標と目標
当社グループは、気候関連リスクおよび機会を評価する指標として、温室効果ガス(GHG)排出量を設定しております。GHG排出量については、①自社の製造プロセス・事業活動における重油・ガス等燃料使用による直接排出(Scope1)、②他社からの電力・熱の購入等による間接的な排出(Scope2) 、③Scope1、Scope2以外の間接排出(Scope3,当社グループの活動に関連するサプライチェーンの排出)、のうちScope1とScope2について、 GHGプロトコルの基準に則して算出をしました。Scope3についても、重要なカテゴリーを中心に2024年を目途に測定を進める予定です。
2. 温室効果ガス排出量の削減目標および実績
①削減目標
当社グループは、GHG排出量について、2035年に向けてのScope1・Scope2の合計の削減目標を設定する予定です。
国際連合「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第6次統合報告書では、地表の平均気温を産業革命前(1850年-1900年平均)比1.5℃以下に抑制するためには、2035年までにGHG排出量を2019年比60%削減、2050年に実質ゼロにする必要があると指摘しています。当社グループは、各グループ企業において実施可能なGHG削減策と必要な対策を検討し、IPCCの提言と整合的な削減目標を設定する予定です。
現時点では、暫定的なGHG削減目標として、2035年に向けての中間年にあたる2030年のGHG排出量を2022年比35%削減、最終目標として2050年のカーボンニュートラルの実現を想定しております。
②実績
当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1・2の合計)は、2022年度現在で4,981t-CO2eとなっています。2030年度における削減目標は売上高1億円当たりの排出量で2022年度対比30%の削減を目指します。
2022年度(実績) | 削減目標(売上高1億円当たり、暫定) | |||
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総量 | 売上高1億円当たり | 2030年 | 2050年 | |
Scope1 | 364t-CO2e | 0.7t-CO2e | ― | ― |
Scope2 | 4,617t-CO2e | 8.9t-CO2e | ― | ― |
Scope1+Scope2 | 4,981t-CO2e | 9.6t-CO2e | 6.7t-CO2e (2022年度対比30%減) |
実質ゼロ |