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[目的]
平成14年度の診療報酬改定で、安価な後発医薬品の使用環境整備を図る観点から、医療機関や薬局が後発医薬品を使用した場合の点数が評価されることになった1)2)。
薬局においては、受け付けた処方箋に一般名処方が行われている場合において、患者に備蓄医薬品の溶出性等の品質情報などを公開することにより、先発医薬品と後発医薬品とを患者と共に選択して調剤することも可能になった。
こうした背景により、調剤薬局が後発医薬品の品質について正確な情報を収集し、責任をもって優れた後発医薬品を提供していく事が求められるようになってきているにもかかわらず、現在のところ一部の医薬品の溶出試験結果を除き3)、かかる判断の為の客観的なデータは公表されていない。
そこで今回我々は、患者による医薬品選択の一助となるべく、後発医薬品取扱いメーカーから医薬品の品質を評価する情報提供を求め、提供されたデータについてその妥当性について検討した。
[方法]
平成14年5月現在、当社調剤薬局(55店)で使用している後発医薬品全品目の「溶出試験」と「生物学的同等性試験」の資料提供をメーカーにお願いし、回答のあった品目のうち、全身循環に入った後に効果を発現する品目について、品質試験結果の妥当性について検討した。
[結果]
提供を求めたメーカー140社のうち回答を得たものは98社(70%)で、そのうち提供できるデータがないと回答のあったものも13社あった。
求めた806品目のうち資料を得たものは519品目(64%)であり、このうち全身循環に入った後に効果を発現する356品目を対象に品質試験データの提供状況をみた。
その内訳は、
【1】「溶出試験」の結果のみは17品目(4.8%)
【2】「生物学的同等性試験」の結果のみは181品目(51%)
【3】「溶出試験」と「生物学的同等性試験」の両方の結果がある品目は112品目(31%)
であった。
【2】のうち、
(1)ヒトでの品目は133品目(73%)
(2)例数記載のある品目は110品目(83%)
(3)AUC、Cmaxの記載がある品目は105品目(95%)
(4)信頼区間までの記載がある品目は41品目(39%)
であった。
また【3】の「生物学的同等性試験」うち、
(1)ヒトでの品目は100品目(89%)
(2)例数記載のある品目は75品目(75%)
(3)AUC、Cmaxの記載がある品目は49品目(65%)
(4)信頼区間までの記載がある品目は13品目(27%)
であり、ヒトでのデータで例数、AUC・Cmax の記載及びその信頼区間の全ての記載がある品目は全体(356品目)のうちのわずか3.7%(13品目)であった (Table.1)。
[考察]
平成14年度の診療報酬改定で後発医薬品使用による点数評価が行われるようになったが、処方箋の一般名記載は進んでいない。その理由のひとつとして医師が一般名を知らないという面もあるが、それ以前に後発医薬品が先発医薬品と同等であるのかという信頼性における不信が、一般名記載が積極的に行われない大きな原因でもある。
今回我々が実際に後発医薬品メーカーにこれらの情報提供を求めても、メーカーの中には品質を評価できるデータがないものや、あるいは試験方法等に信頼性が置けない例が多くを占めるということが明らかになった。
今回の結果では、「溶出試験」と「生物学的同等性試験」の両方の資料が提供された薬品は31%であり、更にこの中の「生物学的同等性試験」において、例数、AUC・Cmax及びその信頼区間の記載すべてが揃っていて、同等であることが証明され得る医薬品はわずか3.7%でしかなかった。
また今回の結果とは別に、米国のオレンジブック(Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence Evaluations)が先発医薬品と後発医薬品の交差試験を行いAUC・Cmaxなどのデータを基に生物学的同等性の判定を行っているのに対し、日本版オレンジブック(医療用医薬品品質情報集)は、溶出性に係わる品質が適当であると確認した品目を取りまとめた迄のものであって、個々の医薬品の溶出曲線等も掲載されておらず、先発医薬品と後発医薬品との比較を示すことができる様な資料にはなっていない3)。
当社では今回の診療報酬改定に対応して、後発医薬品メーカーより提供をうけた資料と当社研究所で行った試験データ、更に日本版オレンジブックをもとに「ジェネリック薬品リスト」を作成し、推奨医薬品の基準を3段階に分類し後発医薬品選択の一助としたが、この様な状況の中では仮に一般名処方がされたとしても、患者と伴に後発医薬品を比較選択するだけの情報が明らかに不足しているのが現状である。
今回の結果から、我々は後発医薬品の品質を正確に見極める必要性があることを再確認すると共に、後発医薬品メーカーに対しては信頼に足る情報の公開を、厚生労働省に対しては個々の医薬品の溶出試験と生物学的同等性試験のデータから先発医薬品と後発医薬品を比較選択できる環境の整備を求めていきたいと考える。
[参考文献]
1)官報 号外第42号 厚生労働省告示第七十一号(2002.3.8)
2)平成14年4月社会保険・老人保健点数表改正点の解説 厚生労働省保険局医療課
3)日本公定書協会編集「医療用医薬品品質情報集No.1〜13」薬事日報社
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